腰痛

腰痛

腰痛の8割以上は、原因が分かっていない*1、というのは、私が腰痛研究を始めてから最も驚いたことでした。

腰痛を訴える患者さんの骨や筋肉を調べても、異常が見つからない事が多いのです。逆にレントゲンやCTで骨や筋肉に異常が見つかっても、痛みが無い方もいるのです。不思議なことです。そんなわけで、原因が分からない腰痛は非特異性腰痛、と呼ばれています。

痛みの原因が明確ではないし、症状の程度を測る客観的な方法も無いので、診断の方法も明確ではないし、治療の仕方の確信が無いし、治療の効果も判断が難しいのです。

困りましたね…

そこで、最近注目されているのがファッシアなのです。ファッシアはコラーゲンの複雑な膜で、筋肉内の筋線維から、筋肉全体、そして神経、血管、臓器など、身体のあらゆるレベルの構造を包んで、我々の身体を形作ってくれています。このファッシアにも、神経があることが分かったのです*2。つまり、このファッシアが痛みの原因なのではないか、ということです。

例えば非特異性腰痛患者の場合、腰のファッシアである胸腰筋膜の動きが、健康な人よりも悪いことが分かっています*3。ファッシアの引きつった動きが、ファッシア内の神経を刺激して、痛むのではないかと研究者たちは考え始めています。私が私のファッシアトリートメントが腰痛に有効だと思う理由です。

私はもともと超音波診断装置を作る医療機器エンジニアでした。私の超音波の知識が、このファッシアの機能を明らかにし、腰痛診断に使える超音波検査方の開発につながることを夢見て、モントリオール大学病院(CHUM)で研究をしています。

*1 Deyo RA, Weinstein JN (2001) New England Journal of Medicine 344:363-370
*2 Fede C, Petrelli L, Guidolin D, Porzionato A, Pirri C, Fan C et al (2021) Sci Rep 11:12623
*3 Langevin HM, Fox JR, Koptiuch C, Badger GJ, Greenan-Naumann AC, Bouffard NA et al (2011) BMC Musculoskelet Disord 12:203

Clinique d’osteopathie japonaise
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